標高2600メートルのティエンブー
……とある蛙

幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をするにも許可がいる
それでもみんなハッピネス
何かを知るのは幸せなのか
何かをもつのは幸せなのか

結局みんな家族のように
父さんかぁさん僕妹
じいちゃんばぁちゃん
となりのおばちゃん
年に数度のお祝いと
それに出されるごちそうと
家族が増えたり減ったりする
大きな大きな安心感

それがずーっと続いて行く
家から見える山のように
それがずーっと続いて行く
家から見える空のように
それが本当の幸せで

他人が羨む家をもち
他人が羨む地位をもち
他人が羨む嫁をもち
他人が羨む金をもつ
その時々の欲望に
満足しては繰り返し

そのうちすべては飽きてきて
死ぬ直前には何も無い
何も無い空のよう
何も見えない夜の森のよう
山肌からは死の匂い
森からは死の気配


自由詩 標高2600メートルのティエンブー Copyright ……とある蛙 2017-02-14 16:04:38
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