フェイクスター
itukamitaniji

フェイクスター

君と笑ってた頃が懐かしい 見つけたばかりの星を指差して
そんな夢を語る時ももう過ぎたのかな 今はひとり夜空の下
どれだけ歩いて進んでも 近づいた気がしないのは
暗闇に浮かぶあの星が 自分の星じゃないからかもしれない


君と手を離したとき この世界は終わったはずだったんだ
なんかやけに そんなことを最近思い出したりしている
でもおかしいな そこからまだ続きがあったようだ
あの時僕は死んだのかもしれない そしてまた生まれたんだ

そうしてようやく気づいた こんな僕にだって
やらなければならないことが 残っているんだってことに

時を越えて輝き続ける 名前のない星をひとつ借りてきて
こっそり自分の名前をつけた 夢を描いた旗を突き刺して
信じ続けていれば 偽物もいつか本物になるのかな
もうそうやって 生きていくしか道はないみたいだ


時が経って僕は 諦めても良い理由を欲してしまったのだ
あの頃は良かったなと 思い出話になるのも悪くないよな
それでも心に灯っていた 灯台はいつまでも光線を放って
ずっと同じ道を示していた 暗い海原の向こう側へと

諦めのいい人間ならば 何度諦めても懲りないってことだろう
いつの日か 諦めた理由すらまた忘れてしまうんだ

あの星の光は いつも同じ等級じゃないように思える
やけに明るく見えたり かと思えば見えない日があったり
どうやら今更 引き返したって同じところまで来たようだ
あの星が偽物だとしても すがり付いて生きていくしかないようだ


自由詩 フェイクスター Copyright itukamitaniji 2017-02-01 23:09:47
notebook Home 戻る