フトウ(よる)
唐草フウ

しんしんと細い雪が
透明な肩に着いては
じんわりと広がり
どこかにとけていく

もう我慢しなくてもいいんだよ
と、いう時間になって

わたしの大切なところが痛みだす


時は止まったまま
あなたは歩き出さなければ、と
舟を曳く
どこへ行こうか
真顔で言うから
舟だと歩き出せないよと教え
たどたどしく引き返す

砂のティーシャツに花火
燃やしても覚えている
喘鳴の火の粉が舞う
やさしかったものは星になりやすいんだってね
握りしめた拳はあまりにも遠い

冬の空だった



自由詩 フトウ(よる) Copyright 唐草フウ 2017-01-24 05:00:24
notebook Home 戻る  過去 未来