スポット自炊
北村 守通

何年ぶりだろう
飯を炊くのは

湿った摩擦音が懐かしい
粉っぽい水の
ぬるぬるとした
妙な
温かさが
ありがたい

かつて
こうして
飯を
炊いたものだった
毎日というわけでもないが
それなりに
頻繁に
食べてもらう
特定の相手はいなかったが

それなりに
不特定多数に
弁当作ってやったり
差し入れに
おにぎりこさえていったり
くらいするだけの
人脈はあったのだった

今じゃぁ
せっかく
うまく作れたとしても
自慢するための
相手もいやしない
声をかける
相手もいやしない


自由詩 スポット自炊 Copyright 北村 守通 2017-01-10 00:49:27
notebook Home 戻る  過去 未来