大山
北村 守通

曇天の
暗い空の下
巨大な
双曲線が
空に食い込んでいる

領域は
黒く塗りつぶされている
漸近線は隠されている

  漸近線の
  その下に
  ゆっくりとおろされた
  平原に
  一つ
  二つと
  道を切り
  一つ
  二つと
  家を建てて
  一つ
  二つと
  灯りをともし
  集まって
  空となる
  集まって
  星空となる

漸近線の
その上に
星空が拡がっているはずである
漸近線の
その下に
星空が拡がる
漸近線は
ずっしりと
動かないで居る
漸近線は
空と
空とに
食い込んで
空と
空とを
しっかと
掴んで
支えている

  やがて
  真っ暗になって
  境界線が
  見えなくなっても
  漸近線は
  空と
  空とを
  つないでいる











自由詩 大山 Copyright 北村 守通 2017-01-04 00:54:04
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