葉月 祐


君は黒く煌めくシーツを
その身に纏って
こちらを見ている
そうだね 寒いからね

僕は月のスイッチを消して
君と共に
夜の深くまで潜り込んだ


重ねる
委ねる
二人のすべてを
ひとつずつ


室内に漂う十月の冷気は
徐々に冷たさを失いはじめ

きつめに繋いだ手を
どちらからも
解く事も無いまま
狭い夜の中で
互いの体温をうつしあう

果てない深夜に
幸せの瞬間ばかりが
幾重にも 重なり続けた


時計の文字も夜にのまれて
今が何時なのかすら
僕ら 分からないでいる

真っ暗な部屋に
君が纏っていたシーツの煌めきだけが
僅かな光を放っていた





自由詩Copyright 葉月 祐 2016-10-23 16:58:35
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