絶え間無く
葉月 祐

泉の水は
色を変えていく

溢れる事だけを
辞める事無く

溺れてしまいそうになる
深い夜の沼地に落ちて
誰かと叫んでも
抜け出す事も不可能な夜

泉の水音に
耳を澄まし

沼の中から
見上げた紫の夜

星は無く 月も無い
光などどこにも無いと言うのに

静寂と共に届いた
色の無い風が
遠くから光の匂いを運んで来る

抜け出せない沼から
見上げている紫の夜へと
自由な左手を伸ばし その色を掴んだ

泉は変わらず 絶え間無く流れ 生きている

生きている
夜も 泉も 私でさえも
確かに生きているのだ

この夜の中で 朽ちる事も忘れて




自由詩 絶え間無く Copyright 葉月 祐 2016-10-14 23:46:54
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