老いた水夫
梅昆布茶

捨てないかぎり夢の続きはついてくる
あきらめない限りことばの谺は響きつづける

僕の頭の中の世界図書館は閉鎖されたまま
精神の廃虚には孤独な回路が短絡を待っている

魂の階梯はかぎりなく地平を開き
あらゆる表現が可能なわけなんだが

ふたたび訪れたハイウエイ66には
白茶けたエンブレムがひしゃげて転がっているだけ

ときどき夢の続きをたどって
現実という隘路にもどってくる
永遠の迷路から

メソッドのない人生に6本の弦を張って
綱渡りするだけの度量が僕にあるだろうか

現実と墓標とねじくれた毎日と
僕の現実は淡々とめくれてゆく

七つの海を航海し七つの後悔を
ひきずりつつ水夫は老いてゆく



自由詩 老いた水夫 Copyright 梅昆布茶 2016-10-06 07:14:14
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