秒針
葉月 祐


眠らない秒針に
わたしは度々起こされる


なかなか寝付けなくなり
夜の部屋に響く針の音を
縫い合わせるようなイメージで
呼吸をしてみたけれど

その規則正しさに
追い付けるはずもなく
過呼吸に似た苦しさだけが
明かりの無い部屋の中に残った


時は苦しまないのだろうかと
息苦しさに悶えながら
相変わらず乱れる事のないその音に
耳を澄ませてみる

そこに降り始めた雨の音が絡むと
時計の音は 角がとれた響きに変わり
どこかで聴いたクラシックのような
安らぎに満ちた音楽へと変化した

秒針と雨の旋律に
整えられていくすべての乱れ


ゆっくりと
意識も和らぎ始め
 わたしは徐々に
 呼吸のリズムを取り戻し
  失ったはずの眠気に誘われ
   多分、この まま・・・・ ・・ ・


眠らない秒針に
わたしは度々起こされる
しかし結局は
眠りへと導かれているらしい







自由詩 秒針 Copyright 葉月 祐 2016-09-07 01:59:35
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