朝が来ない理由
梅昆布茶

いつのまにか夜だけがふけてゆくが
僕の朝はいつまでたっても来ない

時間の止まったままの時計をぼんやりと眺め
時系列のなかの無限の選択肢に思いを馳せる

ものごとを整理するには基準が必要だが
僕の本棚には雑然とした文字情報が果てしもなく列なっている

夏の面影が空に溶け込んでゆく日には
僕の好きな故郷の風景に似た草の道を歩いてみる

僕たちの生は限定されているが
精神はいつも自由な地平線を望み続けている

世界で一番役にたたないものを捜している
僕にとって醜くて懐かしいものがいつも自分の中に有る

幾何学模様の窓から僕たちの漂流する街へ
年老いた猫が僕の風景を横切ってゆく







自由詩 朝が来ない理由 Copyright 梅昆布茶 2016-09-05 20:18:42
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