わたしのアンティークドール
そらの珊瑚

人形も関節から
壊れてゆく、ら
しい。継ぎ目は
いつだって弱い
場所だからね。
かつてあなたが
若かった頃、肘
も、膝も、首も
指の中に取り付
けられた小さな
関節たちも、み
なすべらかに自
由自在に曲がっ
たものだった。
人間だったら不
可能なアクロバ
ティックな方角
にさえ曲がって
みせたのに。
人形は年を取ら
ないなんて嘘。
あなたをこの秋
の窓辺に、座る
格好にかたどる
だけで、関節は
固い悲鳴をあげ
る。生まれたて
の微笑みを保っ
たままで。

亜麻色の化繊の
髪の毛が光を吸
ってまぶしい。
紫外線に損なわ
れながら天使の
輪をこしらえて
いる。

人はあれこれ、
きりきりと継
ぎ目に撚りを
かけて結び、
年を経て最後
にはたぶん全
部ほどいてゆ
く、か、ぷつ
り切れるのだ
としたら、あ
なたのように
微笑むことが
できるかしら。



自由詩 わたしのアンティークドール Copyright そらの珊瑚 2016-09-05 11:56:37
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