アリスの夢
梅昆布茶

運命は変えられるの?
アリスは尋ねる

運命なんてありはしないさ
きみが夢のなかで存在するように

偏在する夢が現在という一点に
結ぶ露のようなものが人生らしいんだが

アリスは頷くと白兎とともに舞台の袖へ退く
また不思議な夢の続きを永遠の子供達に伝道する使命に萠えて

アリスに故郷があるように僕にもある筈の何かが解らなくて
エンディングロールに答えを捜す

昔は夢だけでも結構2,3年は生きてゆけたものだが
いまはブレードランナーのように日々を費やす愚か者

夢のなかで心理テストを繰り返す
新宿歌舞伎町の夜のように底なしの淵に立ってるみたいに

僕の人生はドライブレコーダーと保険で保証され
安い女と連れ子4人と古いオーディオシステムと
ときどきの新しい地平線で構成されている

論理的解答は数理のなかにあって
文学的解答はあまりに広汎ではてしなく
解をもとめる必要性もなくて

ランヴォーのの燃え盛る詩編と
僕のつまらない短詩を比較しようもないが

いつも通りアリスに逢いに行く
いつも通りに


自由詩 アリスの夢 Copyright 梅昆布茶 2016-08-20 23:10:11
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