からっぽの空
梅昆布茶
たしかだとは言えないんだが風の音とも音楽ともつかない
遥か彼方より開いたドアからやってくるもの
空っぽのそらの高みに燃え尽きようとする太陽
響きが海岸に打ち寄せるところに遠くからやってくる僕の孤独が
沙漠のような部屋の床に転がっているさ
月日は読みかけのミステリーのように不可思議に費やされ
分解された僕が不規則な打音をたてて降り注いでいる
僕の人生がかつてどうだったか僕のこころがどうだったかを
忘れ去らせるようにあるいは何を選択してきたか未来に何を見ていたのかをも
もう何も失う物もないのだがすべての死滅したあるいは生命ある者達のうえを
時はヒューズのように燃え尽き走り去ってゆき地球は廻り続ける
不確実な年月と生きる恐れ
僕の一部だったそれらが永遠の中で生き続ける
それはとても僕にとって身近なものに過ぎないのだが
神のみぞ知る
本当に飢えた人びとはまだこの世に存在するのか?
バビロンの壁の向こうにはどれだけの満たされない望みが待ち続けているものか
すぐに壁を攀じ登り塔の高みを目指そうそれらが
音を立てて崩れ落ちるまえに僕の魂を穏やかに鎮める為に
天から降り注ぐ雨のように子供達の笑い声のように
自由詩
からっぽの空
Copyright
梅昆布茶
2016-08-17 20:04:57