サン
モリマサ公

「サン」

ありったけの善意が
満ちていた画面
だれもがいいヒト
でいようと必死だった
みんな
自分自身の状態に
満足し
あきらめが蔓延し
死の匂いは充満した
吃音症の弟が
ぼぼぼくがお思うに
詩詩詩のよ良いところ

かか書いていいるときは
ほ本人のももものだけど
げげげ現在が
か書かれていくこと
によって
他他他他者他者にき切りかか替わり
「かか過去のほ本人」と
いう
べべ別別の人格が
うう生まれていくという
こここと

彼の濡れてひらかれた
瞳から
ぼろぼろと
文字がこぼれていくのがわかる
吃音に絶望して自殺しようとしている弟は
ホルモンバランスがわるいというだけだ
このことに起因するいじめをうけていることはたしかだが
人と円滑にコミュニケーションがとれないわけではなく
むしろ積極的に絶望して詩をいくつも書いていた
詩の朗読のYouTubeなどを何度もみている
短い文章がスキなのだ
まあたらしい靴を履いて
扉をしめると
汗ばんだ肌を
なぶるように
風が
スカートの中を
吹き抜けてく
街をパトロールしてマッピングする
さみしさをリアルにぶらさげてコンビニから帰宅する時
太陽は見えなくなっていたがまだあたりは青いスケールをたもったままだった
見上げると
しろい光や橙のひかりが壁面に
ともってどれもはずんでいる
屋根の下の通り魔
部屋中に顔を塗り潰した写真を貼って
みてよほらオレたちの
新しい
戦場の色
コバルトブルー、ブルー、スカイブルー
オレたちのウォーゲーム
プールの中の塩素
「そうそう、いい忘れたんだけど、実はオマエな、死んでんだよ」
「それな、言っとく,一応」
「瀑笑」
ハビタブルゾ−ンプロミネンスはこう歌った「みんなで同じ船に乗ってどこまでもいこう」
わたしはそういう船に見知らぬ人とのりたくないのですげなく断った
フレアも同じ気持で断った
フレアはこういった「ねえ命は軽いからわたしたちとしをとっていくの」
フレアはクールなおんなのこだったからおんなのこがスキだった
コロナはこういった「大丈夫、スキ」
ひとりでいく街路樹をおおう空気は無気力で
肉のように重くなった雲に
あたしは無いほうの腕をのばす
目を閉じるときのゆっくりの音が
手を開くときの関節の音が
して
吃音に絶望して自殺しようとしている弟は
ホルモンバランスがわるいというだけで
このことに起因するいじめをうけていることはたしかだが
詩に関しては天才だった
みんなが彼の詩をよみたがった
彼の詩をあまりにもみんながよむので
彼はもう詩という存在になって
みんなという詩になってしまった


自由詩 サン Copyright モリマサ公 2016-08-05 16:55:25
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