「オバマ・グーグル」山田亮太
モリマサ公

オバマ・グーグルってみんな知ってるのだろうかとおもい、
でツイッター検索するとだいぶ人気のある詩集だということがわかった
入手困難な様子がいくつもつぶやかれている
ちょっと読んでこれは買いだ!みたいなわたしと同じ心境にいた人もいた
わたしはポエケットでこれを手に入れたが
トルタさんのブースにある本なので終わり頃まあちょっと目を通そうとおもって
ふらっと立ち読みしたところ
ぶわっとなって一気にいけたので買いだなって思って
隠しておいたお小遣いをはたいてこの詩集を買うに至った
好きなファッション雑誌とか無印で小物とかを買うためのお小遣いだった
面白かった
普段生きてても面白いことなんかそんなにないし(デートは楽しいが)
本を読んでもすぐあきちゃうし
でも詩人でおもしろいなおもしろいな
こんなことはできないな
と思う人はなかなか現れなかったし
タヒちゃんとほしおさんがスキだし
てか「オバマ・グーグル」ってタイトルが変だから
詩集なのかどうかも最初はわからなかった
これはないなって(選択肢に)
しかし帰りの電車で読み進めると
「オバマ・グーグル」のまなざしがやってきて
読んでるあたりではまだ書いた人の名前すらよく認識できないくらいで
構成のありかたがすぐにわかったのでぐいぐい読み進めていったが
途中でつくばについてしまい
続きは朗魔2にいきしなの電車の中になった

ちゃんとした感想を書こうと思っていたら
変などこかで読んだような文章になった
しかしどの芸術というかどの人間にも同質な部分はある
その一部が現出したにすぎないことを
わかってこの感想を有りな方向に

「オバマ・グーグル」
これを可能とするわたしたちは現在のあり方を問われている
てゆーか
「オバマ・グーグル」は冷静に絶対的他者として構成された詩群のようだった
そこに自分はなく他者だけを陶酔させ覚醒させコントロールする詩である
そこにあるのは書くがわの独裁的なコミュニケーションではない
どうよこの展開

そーだなつまりはこんなかんじ
オバマ・グーグルはけして熱量はおびていないのに饒舌な友人的スタンスで
完全で不完全で風通りの良い抜け感がおびただしく設置されている
わたしでもなくかれでもない我々(集団)という気配になげかけられた怒濤のコトバ群は
スピードを持って
これは「みんなの宮下公園」にもあてはまるかな
宮下公園を想像しなくても歩き回った記憶があればなお面白い
スピード、大好きなコトバ
まるで人形つかいに息をふきこまれ正しく踊りだす人形が加速してく的な
それは我々に欲されて生まれてきた人形である
詩そのものの向こうがわにあるものすなわちよまれる者としての我々
その間にある
その断面は地上に存在するグーグルでマッピングされた位置情報的存在だ
サンドイッチの断面をインスタグラムするくらい簡単に
その萌断をみんなにみせてあげたいけど
これは詩のはなしだからね

激しく流れ込んで来るコトバの群れは完全にみえるが我々が埋められていない空間を
おぎなうことによってそれは完成される
コトバの群れは容赦なくくまなく侵入してくる
そういってしまうとちょっと暴力的みたいだけど
親しみをもってあるいはチカラであるいは
しっかりとした足取りで

詩は浮遊しているものが多い
なかなか地に足をつけているものは少ない
みんな夢見がちの中で
まるで白いワンピースきてお花畑にいる的なことに気付いていない
自覚の無い詩群が目について毎日うざい
わたしは考えている

ここにあるのは我々の欲したコトバの群れである
これは本当
たしかに流動的であるし最現在の構築物である

オバマと言葉の関係性は言葉の未来に大きく貢献した
とくに合衆国では新しい文化のひとつを大きく揺り動かした
それは記録すべき事物のひとつだった
だからただしい

この作品と作者と我々の関係性は
クラブのフロアにいるDJと音楽と集団という一つの群れに似ている
DJは個性を求められてはいるが
実際は集団がなければその空間はなりたたない
だが多方面にわたるミュージシャンたちの発する
一方通行な命令形音楽(これを聞け的な)とはあきらかに違う
集団の欲する音楽を次から次へと投下しなければそのフロアは成り立たない
すでにDJは個を離れている
今集団が何を求めなにを欲するのか
集団の欲望だけが求められてそこにDJの欲望は必要とされない
熱狂的な音楽あるいはチルする音楽
その主体は集団の中だけに存在するのだ
わたしらしさではなく世界らしさがそこに存在するのだ
でしょ?

オバマ・グーグルの文章群はオバマというワードのなかで流動的になり
やがて読む側にひとつの感情を与える
文章ひとつひとつが
それは我々個々の欲望あるいは問題となり部分的に同じ性質をおびて
我々はオバマ・グーグルの一部と部分的に重なり合ってなじんでいく


散文(批評随筆小説等) 「オバマ・グーグル」山田亮太 Copyright モリマサ公 2016-07-18 20:26:19
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