１６０７１１

７人の敵を探し
溶岩洞窟に潜む時
鬱病患者の４名に３名は
医療機関を訪れない
ストレスが原因だけど
脳の病気でもあるとテレビは語る
溶岩洞窟の壁の皺の一つ一つに患者の
ストレスを塗りつけているうちに
１００年が経ち灰色のすべすべの
落ち着かないもの悲しい洞窟になってしまう
問診する精神科医はカウンセリングは老人には
害になることがあるから
あまりお勧めいたしませんともいう
時間が来て、先生の顔が少し気むずかしくなってきたので
これが潮時と、お礼を告げて診療室を出ると
次の方の名前が呼ばれ、私は待合室の椅子に座り
がま口を開けて、料金を支払う準備をする
外に出ると、車がひっきりなしに走っていて
危なくて仕方ないので、パーキングに急ぎ
料金を払って私もひっきりなしに走る車の仲間入りして
歩行者を脅かして先程の意趣返しをする
テレビは、誰でもなる病気だから、サインを見逃すなの
道交法の基本と同じことを言っているから
サインはＶという古いコミックをヤフオク載せてみるが
誰も入札してくれない
昨日のポエケットでもスルーされる詩集の呻吟する声がして
ゲスト朗読のＳＮ比を悪くしている
なに、ガラホのボイスレコーダーの性能が悪いだけだよと
私は主張するけれど、彼らの怨嗟の声は続き
帰宅するキャリヤーの中からは悲鳴に似た段差乗り越え時の
軋みがして、重量オーバーだよとも感じる
都知事には誰がなるのよと思いながら
鬱病になりやすい候補者は当選しても
任期全うできないからなと、立候補を取り消した方の
弁明を聞きながら、若い方の投票率が相変わらず低いから
もしかしたら、もしかしたらと今入ってきたニュースは
候補者の絞られたイギリス国の（そんな国あるのかい？）首相に内定したメイ氏の笑顔を映し出す。　永六輔さんが亡くなったとの悲しいニュースもあり、テレビは想像力を毟り取ってますねと力強く語っている顔が映し出され、上を向いて歩こうと鬱病防止策の歌詞を、５０年以上前に作っているのだから、すごいねと被災地の人々は訪れた永さんの姿に笑いたいのを我慢してるのだと遠慮がちに語る
こうしてポエケット後の引き籠もりの一日は終わる。

初出「即興ゴルコンダ(仮)」を少し修正
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　　タイトルは、阿ト理恵さん