あたいずむ
るるりら

ある朝
ヒナのために批評している
ツバメの雛が巣から落ちたのだ
百均の店員の
みなでしつらえた
段ボール製ヒナ落下防止板の設置位置について
ヒヒョウしている
作業が遅れ
巣からなかなか離れない人間に対して親鳥が
金切声で 人間を ヒヒョウしている

脚立をたたむと親鳥が巣にもどる
ヒナたちが一斉に口を菱形にあける
親にとって巣穴にはいりにくくなった
さけぶ さけぶさけぶヒナたち
旋回する旋回する親鳥たち
ヒナのために批評する
制服をきた人間も とおりすがりの客も 
みんな巣穴の暗がりを
みつめていた
 
あたいは あたいに唖然とした
なにげなく目に入っていた
小鳥の姿も子猫の心も どこかいつも
他人事 人様の気持ちなんて なおさら知らないわ
知らず知らずのうちに
風景を二次元に、カット割りしている
と、
一縷の風が
くちなしの香をはこぶ
ひらかれる緑蔭に 
リリリリリ ゆりのつぼみ 
かぞえきれない ゆりのつぼみは紡錘型
茎はおなじような角度のカーブで たったまま
なにかを待っている

咲いてしまうと ラッパのように
しゃべりだしそうだ
(真似すんな)とか(おまえとわたしは似てるけど違うんだ)とか
いまは 
ただ 
五感をとぎすまして 待っている
つぽみは舟となり 
宇宙のことを
考えている
りりりりりり りゆうをさがす ゆりのつぼみ
あたいも重たそうなままで 宙に浮くさね






★しりとりスレッドに提出した自作作品を三作品を 一作品にしました。
http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=35730


自由詩 あたいずむ Copyright るるりら 2016-07-04 18:24:54
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