ふたたびスケートボードに乗って
梅昆布茶
恋人たちは喜びをわかちあい
老人達はバックギャモンに余念がない
子供達は無垢に世界を徘徊し
大人達は株価のチャートに気を取られ
僕はといえば太陽に労いの言葉をかけて
しけた煙草に火をつけて君をけむたがらせてばかり
入管法違反の僕はいつのまにか日本人に成り済まし
何食わぬ顔で近所のおばさんに挨拶している
金欠になると一日五百円生活をはじめるのが恒例で
いつも僕の脳内はもの悲しい祝祭に満たされ
えせ吟遊詩人はいちばん安い言葉の部品を組み立てて
ニーチェとシッダールダの3Dモデルを売り出そうと目論んでいる
この素晴らしい世界でただしい狂気を実現するために
このながいながい下り坂を
ちいさなスケートボードで滑り降りてゆく
言葉だけは裏切らないこの素敵な世界を