ふたたびスケートボードに乗って
梅昆布茶

恋人たちは喜びをわかちあい
老人達はバックギャモンに余念がない

子供達は無垢に世界を徘徊し
大人達は株価のチャートに気を取られ

僕はといえば太陽に労いの言葉をかけて
しけた煙草に火をつけて君をけむたがらせてばかり

入管法違反の僕はいつのまにか日本人に成り済まし
何食わぬ顔で近所のおばさんに挨拶している

金欠になると一日五百円生活をはじめるのが恒例で
いつも僕の脳内はもの悲しい祝祭に満たされ

えせ吟遊詩人はいちばん安い言葉の部品を組み立てて
ニーチェとシッダールダの3Dモデルを売り出そうと目論んでいる

この素晴らしい世界でただしい狂気を実現するために

このながいながい下り坂を
ちいさなスケートボードで滑り降りてゆく

言葉だけは裏切らないこの素敵な世界を


自由詩 ふたたびスケートボードに乗って Copyright 梅昆布茶 2016-05-31 18:39:01
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