波うつカーペット(ゴル投稿)
高橋良幸



ただドローンが飛んだだけ
Bボタンで追尾して
Aボタンで発射する
無人が狙うゆうじん
救命ロボットが僕たちを守ってくれるなら
戦争が勃発するのかもしれない
そんな予感をさせるテレビ番組が
波に乗ってきた
ドローンも波に乗っていく

うつ

ゆううつは川面を打つ雨だ
東京の想像上の梅雨だ
妻は札幌に梅雨がないという
本当の梅雨が来たらうつだわという
氷河期が来るんだとか
地球の温暖化が進むのだとか
そんな鬱屈したテレビ番組が
波に乗ってきた
川面に無数の波紋が立つ

カー

カーと言ったらミーだ
そこらへんはツーカーだ
ゆらゆら帝国ミーのカーにのせて
マイナンバーカードの到着を知らせてくれるのが俺の嫁だ
何か足りないミーのカード
曖昧にアイマイミー
番号をつけることはそういうことなんだ
マイナちゃんが波に乗ってやってきた
俺はうちがばれないように波風を立てないぜ

ペット

マイナちゃんはうちのペットだ
そして俺はマイナちゃんに番号をつけられた
マイナちゃんが空を見上げた
あれはドローンじゃないか
雨粒ほどのドローンじゃないか
雨粒ほどのドローンの大群じゃないか
ついに札幌にも梅雨が来たのだろうか
ナンバーに紐づけられて飛ぶ
俺はマイナちゃんの機嫌を損ねてしまったのだろうか
Bボタンで追尾して
Aボタンで発射する
居間のカーペットが波打った


自由詩 波うつカーペット(ゴル投稿) Copyright 高橋良幸 2016-05-30 19:36:17
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