202号室
縷々流 縷々

本当に大切なものだけを
本当に大切にするって
難しいことですね
あなたがそう言った
皮肉でしょうか

本当に大切なものだから
本当に大切にしてよって
あなた本当はそう言いたいのでしょう

朝、あなたはわたしより少し早く起きてカーテンを開ける
その眩しさに負けてわたしは背を向ける
眠るってことは死んでしまうってこと
起きるってことは生まれること
毎日、仮死状態を繰り返し
この部屋から出ることは許されない

本当に大切だと思うから
本当に大切なそれだけを
本当に大切にできなくて
憎まれていつか出て行くかしら
それでもわたし
いつの間にかあなたが居なくなっても
本当に大切なまま
わたしのなかで仮死を続けるわ


自由詩 202号室 Copyright 縷々流 縷々 2016-05-24 07:45:12
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