佳日邂逅
平瀬たかのり

 ぼくは今日ハローワークに行った

 あさっての面接の段取りをつけ
 神社にお参りをしてうまくいくように祈った
 (苦しいときの神頼みだね)

 帰りのバス停ベンチに座って
 コンビニおにぎり二個一九八円のパックを開けた
 ぼくから少し離れたところで 
 女子高生がひとり
 立って教科書を開いていた
 一生懸命読んでいた
 ぼくは梅おにぎりを
 〈お~いお茶〉で流しこみながら
 彼女を見ていた

 「わっ!」
 「きゃあ! もうびっくりしたぁ!」
 ともだち登場、笑顔の花が咲く
 ぼくは鮭おにぎりを
 〈お~いお茶〉で流しこみながら
 彼女たちを見ていた

 ぼくも二人も同じバスに乗った
 スポニチを開いて
 昨日のタイガースサヨナラ勝ちを読む
 後ろで二人は楽しくきゃらきゃら話している
 もちろんぼくはエロ面に目を通したりなんかして

 バスが止まる
 教科書の彼女が席を立つ
 「じゃあ 明日がんばって」
 「うん ありがとう」
 二人手をふりあって
 教科書の彼女がバスを降りていく

 「わっ!」の彼女も終点までに降車してしまった
 ぼくは二人の会話に
 聞き耳立てていなかったことを
 少し後悔しながら、スポニチをたたんだ

 あさってが
 今日のような佳い日でありますように


自由詩 佳日邂逅 Copyright 平瀬たかのり 2016-05-20 19:34:15
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