十九は束の間
yasutomi


十九は束の間

  十九は束の間
  菫色の空の様に
  勝手に暮れて
夜が来る
  十九は束の間

東京は
中野の駅に程近い
三畳一間のアパートの
部屋に一人で
籠り居て
煩悶をせる
十九の日々を
意味もなく
思い出すのは
言うなれば――仲違して
別れた女への未練
あるいは旧交を温めたい
 ということか

  十九は束の間
  菫色の空の様に
  勝手に暮れて
夜が来る
  十九は束の間

青春の日は去り
時は過ぎ去って
身には
嘆きの残りいる
失くした夢や
憧れは
どこへ行ったか

悔いとして
私の中に
今もなお
形を変えて
残ります

  十九は束の間
  菫色の空の様に
  勝手に暮れて
夜が来る
  十九は束の間

今日も今日とて
酒を飲み
酒場の隅で
目出度くも
酔い潰れる
仕儀とはなるのです

  十九は束の間
  菫色の空の様に
  勝手に暮れて
夜が来る
  十九は束の間


自由詩 十九は束の間 Copyright yasutomi 2016-05-12 16:54:28
notebook Home 戻る