めくりかえしたい
石川和広

詩だけでは
あなたの全ては表現できませんよね
とカウンセラーが去年の暮れ云いました

これから、僕に訪れる事態

そうだと思うと答えてから
ずっと考えている
その間

いなづまや女や男が僕を引きちぎろうとする
いくつかの請求書を破った

気持ちのままいきたい
第三者の目は勝手に内臓されているので

薄明かりの時間をさまよっている

ほんとうは未来も昔も
今の中に詰まっていて
今は僕で
僕は僕の外側から観察を
続けている僕で

観察地から
ひこうきの爆音が
いくつかきて、すぎさった虚しさで
りんごジュースをひとくち飲んだ

りんごも人類の無菌の手のいくつかが
回路を巡り、山、街、道へスーパーへと
絞り殺したもので
今は僕の口で



筋繊維のいくつかが、ぴくついて
それは、原罪の信号で
現在進行しては、世の中を汚してしまうが
奇妙に手荒れした手で
汚れた清潔とも手をつなぐ

汚れているより
濁った感じを感じるのが
僕は好きなだけ

観察地をめくりかえしたい

椅子の上で背筋を伸ばす
地面に向かって



自由詩 めくりかえしたい Copyright 石川和広 2005-02-24 16:01:54縦
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