空へかえるマニュアル1
梅昆布茶

道はつづいてゆく
途切れながらも果てしなく

途次の三叉路で
焼きそばの匂いにさそわれて
この街道に至る

次の五叉路では
上海の娘が待っていて

サイレンのように
髪を偏西風に靡かせて

崩壊する地球を
眺めている春日に
夢は浅く

過ぎ去った恋も
ちっちゃなお皿にのせて

血の池地獄に映える
あの空へ
還らなければならない

通りがかりの
鴉に問う

一枚の紙の
表と裏で
書いてあることが違うのです

君はどうおもうかと

答えは明快で

ああ一緒に呑み込んでしまえばいいさ
答えのないものを追い求めても
あんまり生きる糧にもならないからね

前提にこだわりすぎて
生きることを忘れるなよ

摂理からは逃れられない

拘束を解く道具を
かぎりなく発想してゆく

生命そのものが
冷徹な摂理から逸脱した
ものなのかもしれない

藻掻きながらもやさしく過ぎてゆく日常に
空に還ってゆくまえに

またちょっと寄り道でも
しようかとおもっている


自由詩 空へかえるマニュアル1 Copyright 梅昆布茶 2016-04-19 03:52:14
notebook Home 戻る  過去 未来