人生の選択
ヒヤシンス


 すべての家の窓は閉められている。
 通りには誰ひとりいない。
 路地裏は灰色の匂いがする。
 この世に僕一人しかいないような感覚。

 家並みを抜けると開けた田園地帯になる。
 僕は緑のチェルシーを頬張る。
 田園はそのまま森につながってゆく。
 森が僕を待っているのだ。

 ルノワールの栞が挟んである本を取り出し開いてみる。
 そのページは白紙だったので文字を書き込んでみた。
 本日異常なし、幻ひとつ。

 森はいつでも僕に優しい。
 夢幻の包容力はとても緑で爽やかな匂いがする。
 小さな決断を繰り返しながら僕は今日も生きている。


自由詩 人生の選択 Copyright ヒヤシンス 2016-04-09 05:43:16
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