予感
ヒヤシンス


 オルゴールが穏やかに流れる
 喫茶店の窓から外を眺めると
 桜がさらさらと散っている。
 春が終わろうとしている。

 桜の薄いピンク色の花びらが
 ひとつまたひとつと僕のいる
 窓枠の外に落ちてゆく。
 道端に春が広がる。

 空には薄い雲が流れている。
 オルゴールの優しい音色のように。
 色の深さに広がりを感じる。

 僕は何か大切なものを失ったような気持ちになる。
 決して暗い感傷ではなくて、前向きな感情だ。
 新しくやってくる季節の色が僕には見える。


自由詩 予感 Copyright ヒヤシンス 2016-04-09 05:14:34
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