白い雨
……とある蛙

黒猫

サッシ窓の外の白い雨
買い主のベッドの上
端正な座り方をしたまま
黒猫は夜の雨を眺めている
飼い主が死んで一年
じっと外を見ている

黒い瞳に映っているのは
寒い線なのか
白い水滴なのか
首を傾げるでもなく
首を伸ばすでもなく
じっと外を眺めている。

寝室の扉を開けたとき
一声鳴いたっきり
黒猫はベッドの上
外を眺めている。
保護者の喪失から
一年

サッシ窓の外の白い雨

まだ降り止まない。


自由詩 白い雨 Copyright ……とある蛙 2016-04-01 16:27:42
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