春って
nonya


空から
剥がれた薄皮が
ふうわり落ちてきて
森と街と人の
あらゆる隙間を
滲ませる

君から
届いたLINEが
妙に素っ気ないのが
どうでもよくなるくらい
僕の指と吐息は
重くって

名前も知らない
さえずりに釣られて
思わず窓を開ければ
はちきれんばかりに
膨らんだ蕾に
欲情する始末

春って

なんか
生き物のにおいがするよ

春って

なんか
土の呻きが聞こえるよ

せめぎ合いという
祭りが
僕を追い越していく
ふりをして
何処かで
待ち伏せしているよ

春だねって
僕が
嫌々微笑むまで
しつこくつきまとうんだよ

春って





自由詩 春って Copyright nonya 2016-03-15 19:52:16
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