ティータイム
Lucy

夕暮れの空は
少し甘めのコーディアル
濁り踏み荒らされた雪解けの道に
照り返し

闇雲な胸騒ぎも
無知な喧噪も
先鋭化した矛盾の
せっかくの露呈も

ほんのり澄んだ彩で
やさしく宥めてしまう

朦朧とした幻覚に守られ
まどろみの入り口で
ただ謙虚なひとのように
 
生姜とラズベリーと
蜂蜜とローズヒップ
一杯の慰め
心地よく
「無力な私たち」に
逃げ込む

遠いおとぎ話のように
いずれガラスに閉じ込めると言う
水中に沈められ
発熱し続ける魔力を持った棒のことや
黒い袋の破れ目から
たえず滲みでる汚れのことも
無色の毒を
大量に飲まされ続ける
海のことにも

賢く 
目を閉じ
耳を塞いで口を噤む

春がぺりぺりと
捲れていくまで



自由詩 ティータイム Copyright Lucy 2016-03-07 19:07:18縦
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