途上にて
梅昆布茶

キムチトーストにはまっている
いまさら短時間高収入の仕事に就くすべもなく

ちぎられた時間のなかでファーストフードならぬ
簡単な食事と全自動洗濯機
電子レンジとオーブントースター
せまい部屋に不似合いな馬鹿でかいカラーレーザープリンター

電子化されたアニミズムがちょっと心地よい夕べに
電子ブックでは触れえない紙の香りが好きだ

1972年発行の研究社新英和中辞典の
インクと紙の匂いが大好きだった

スポーツを観戦するのは素敵だが
僕はサッカーではバックスでキックの飛距離だけを
買われていたのかもしれないが

宇宙の振り子のなかの微細なポジションを生きる

東京マラソンで交通規制中の都心で
おっかない婦警にびびりながら
なんとか荷を降ろす

作品としての
命はいつか
区切りをつけなければならないのだろう

でもいいんだ
人生がひとつの作品だとしても

数学的な論理が破綻しても
きみはきみなりの素敵な人生を

とまどいはずっと続くが大丈夫
ふわふわいきているよりはよっぽど増しだろう

だからまた言葉を捜しにゆく




自由詩 途上にて Copyright 梅昆布茶 2016-03-01 09:32:05
notebook Home 戻る  過去 未来