きみを溶かしたら、たぶん空色になると思う。(ゴル投稿長考版)
高橋良幸

ニュース画面に映る空はいつもあんな色だろう。それが青色だって即座に思い浮かべてしまうのかもしれないけれど、ふと気づけばもう夕暮れが終わりかけてる、なんて時もある。光が散乱された結果としての単なる色彩のグラデーションなのだとぼくらは豆知識として覚えていて、もしかしたらきみなんかは関連する数式の幾つかをそれとなく覚えているかもしれない。ああいう将軍様のロケットだとか、下町の人工衛星だとか、飛んでいく原理はおなじだとして、載せている夢はどれだけおんなじなのだろうか。飛翔体はぐんぐんぼくらから遠ざかって、やがて肉眼だけでは色を生んでる粒子との区別がつかなくなってしまう。まるで遠い世界の出来事を、単なる情報が散りばめられたグラデーションとして捉えてしまうように。たまにあるだろう、まっすぐな道のずっと先が電柱とか電線とかごちゃごちゃしたもので埋め尽くされていて、空を薄く塗ったような色になっていること。
だから、これはそういう消失点の話だとも言える。見えなくなってしまうということが、溶けてしまうということのもともとの定義だって。それでさっきの話の続きをしたいんだけど、あの夢はきみの夢とはどれだけおんなじなのだろうか。いや、答えづらかったらいい。でも、きみがずっと遠くに行ってしまう前に聞いておければと思って。


自由詩 きみを溶かしたら、たぶん空色になると思う。(ゴル投稿長考版) Copyright 高橋良幸 2016-02-18 21:40:34
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