冬すみれ
そらの珊瑚

 ひだまりの

冬に
春をおもうのは
にんげんだから

そもそも猫は
冬という言葉の意味を知らないから
まるくなってねむるだけ
ふゆ、と呼べば
ニャッと短い返事をするのは
冬、と名付けられたから
それだけのこと

猫は
やっぱりにんげんとは違うらしい


 
 夜の爪弾き

健気ともいえる
爪をおくりだす細胞は
今このときも
時間をおしんで
しごとをしている
持ち主に気づかれて
パチンを切られてしまわないよう
そっとそっと

特に夜の爪は
冷たくひっそりとした顔を
よそおっている

 
 冬すみれ

原生林で迷子になって
あやうくもどれなくなるところに
救ってくれたのは
一輪の花
もどれなくなるのも人生ならば
もどる選択のあるのも人生だよと


 水のあとさき

汲みたての水には
ちいさな泡がおよぎ
たった数秒で消えてゆく
グラスの中の平凡な魔法




自由詩 冬すみれ Copyright そらの珊瑚 2016-02-04 13:41:47縦
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