胎動
ヒヤシンス


 遥かに広がる大海原に自分の心を摺り寄せてみた。
 波の揺らめきは私の魂の鼓動と相まって、
 心地良くもあり、息苦しくもあり。
 気がつくと私は泣いていた。

 人はみな悲しみをその心の大海に宿している。
 誰もが持つ微笑みや優しさは大海に浮かぶ一艘の船だ。
 驚くべきは甲板に立つ貴方の崇高な精神力で、
 光り輝く日輪もその力には及ばない。

 難破しそうな時は思い出すがいい。
 貴方が嘗て勇気をもらった詩や全ての芸術を。
 そして何より大切な人から授かった素晴らしい愛情を。

 何かを伝えるのは簡単なことじゃない。
 しかし貴方が今まで生きてきた道程に比べればそんなに難しいことじゃない。
 大海原に重ねた心の胎動はいつでも人の胸を打つ。


自由詩 胎動 Copyright ヒヤシンス 2016-02-02 13:56:51
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