蜜柑
梅昆布茶

冬が通りすがりに蜜柑をひとつ
窓辺へ置いてったようだ

不用意なこころはすぐ凍傷にかかってしまうから
ちょっとした季節の気遣いにも丁寧に礼を言おう

ざわざわとした毎日を蹴飛ばし
転がして陽はまた沈んでゆく

だからまた少々の変化をつけて
ささやかに一日を組み立ててゆく

ときどき生活を解体するつもりで
あらたな空気を取り入れようと試みるも
身の丈が精一杯で僕の冷蔵庫は空っぽのまま

オレンジって
けっこう好きなんだ

once an orange
always an
orange

きみの言葉が理解できないんだ
斬新は魅力的だが
いつも通り纏っている襤褸の
惑星も愛着を捨て難いもの

パステル画のような朝が好きだ
論理和と論理積ではいまは生きたくないから

ヒューバートロウズの(春の祭典)を聴きたいとおもう
ときどききみの唇をおもいだす
ちょっと冬の蜜柑みたいな
無垢な平和主義者なのかもしれない


自由詩 蜜柑 Copyright 梅昆布茶 2016-02-02 11:43:32
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