東風
藤原絵理子


暁のうたたね 夢の中で泣いて
白くぼんやりした夜明けの部屋に
ムウドだけが薄く残っている
メランコリックな仕草で 髪をかきあげる


オルゴオルの上で踊る 白鳥が優雅に
ころんころんと輪を描いて 輝く瞳で
幼い少女が見つめている 透明な額で
世界は 綺麗なものと楽しいことで溢れた


遠い夢は回って 踊って
過ぎ去った日々の彼方に ほのかに
漂い薄らいでいく 白い梅の香りが


融け残る雪は
玉水を結んで 陽に煌いてリズムを刻む
軒下の石を穿って 永遠を願って


自由詩 東風 Copyright 藤原絵理子 2016-01-31 23:47:17
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