消耗品
nonya


あまりにも悔しくって
青空の端に噛みついたら
前歯が少し浮いただけのこと
決して笑ったんじゃないよ

蹴ろうと思った空缶を
君が先に蹴っちゃったから
握り締めていた拳を開いて
左右にすごすご揺らすしかなかったんだ

言いたくもなかった
「ありがとう」を言ったら
冬風が唇に染みた

いったい
あと何回
僕は負けるんだろう

勝ち負けじゃないと
言い張るヤツは
いつもチャンピオンベルトを巻いている

「こんにちわ」より
「さよなら」の数のほうが
多いに決まっているけれど
そんなこと分かりすぎているけれど
慌てて駆け下りた地下道は
どこも工事中で
出口を見つけるのも容易じゃないんだ

僕の後をどこまでも
ギシギシとついてくる足音
また何処かが摩擦しているらしい
もう痛みはないんだけどね

たぶん
空だって消耗しているんだから
僕なんか
ひとたまりもないんだろうなあ


唇が
落っこちそうに見えるだろうけれど


笑ったんだよ




自由詩 消耗品 Copyright nonya 2016-01-27 19:51:49
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