なわとびあそび
ただのみきや

くぐるのか
こえるのか
あたりまえに
たのしげに
なわの向こうへ
消えてしまった

きっと時代や風にも乗れるのでしょう
できない者にはいつまでも不思議

なわは蛇のようにうねり
大波のように捲れ
風を切り 
――裂く
目では追えない

 〽オジョウサン オハインナサイ

ともだちはみんな
大好きだったあの子も
家族もみんな
たのしげに
なわの向こうへ
消えてしまった

わたしだけが渡れない
なわのこちらでひとり
追えぬものを必死で追って
とれぬ拍子を必死でとって

なわを廻す子どもらは
次々に代わって往く
もう知っている子はいない
取り残された大きな子ども
それがわたし

クグルノカ……
コエルノカ……

待ち合わせた橙と藍の
薄い袖が重なり合う頃
不意に呼ばれた気がして

 〽オジョウサン オハインナサイ

せいいっぱい
おぼつかない
カケダシタ
目ヲ瞑ッテ
飛ビ込ン――          さくラ
              白い蛾 舞ッテ
            舞って さくラ ミタイ
          白い蛾 白い蛾 舞ッテ 待ッテ……
            舞って さくラ ミタイ
              白い蛾 舞ッテ
――ダ くいこむ        さくラ
なわ 深々と
豆腐みたいに
からだ 裂 け  タ

懐かしい
笑い声
闇路を下って
子どもの
わたしも
脚だけが駆けて

くぐったのか
こえたのか
あたりまえに
楽し気に



                 《なわとびあそび:2015年12月18日》







自由詩 なわとびあそび Copyright ただのみきや 2015-12-19 20:48:48
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