発熱
虹村 凌




ケイタイが 君からの着信音で鳴った

            ”苦しい 助けて”
                 熱を出した君からのSOS
          そんなに苦しい時にも
                   君は俺の事を考えていてくれた


                                 それが嬉しかったんだ

 実際は遠く離ているのに
       ココロは とても 近い 気がして

                  
                                      嬉しかったんだ


        苦しそうな電子文字が 真っ白い画面に浮かんでいた
        俺はずっと君の側にいた
                  何往復もする電子郵便に
                  たくさんの「スキ」とXXXをつけて
                  時間を忘れて 君の側にいた
                            恥ずかしい位に
                            俺達は自分達の世界に入り浸っていた
                            俺達が創り上げた世界は
                            Nightmareなんかじゃなかった
                     コーヒーに砂糖とココアパウダーを入れたように
                     甘い 二人の世界だった


                それは 君が苦しい時も変わらなかった






二人の環境が少し変わってから
         少し時間が経った


君は今年も熱を出した
   けれど 今年はケイタイが鳴らない
     情報の海の電子郵便箱には
              何時間も遅れてメールが来る
              それも テイネイに書かれた電子文字


別に苦しくて俺を呼んだんじゃない
   苦しくて俺の名前を呼んだんじゃない

                                    本当は読んでくれたのかな?
                                    呟いてくれたのかな?
                                    考えてくれたのかな?

   あぁ 俺達は離れ過ぎている
       そんなすれ違いは仕方無いのに
       それでも気になるんだ
     熱を出した 君は どうしていたんだろう?

                  そんな事を考えながら 一年前の事を思い出す
                  何年か経ったら どちらかが熱出したとき
                  側にいて 手を握っていられるのかな?
           俺は一人で寝てるのかな
                      君の側には 誰かいるのかな?

          君が側にいてくれるまで熱をだしたくない

2003.11.29 04:00AM 憂治 誡



自由詩 発熱 Copyright 虹村 凌 2005-02-19 17:39:17
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