枕に消ゆる
藤原絵理子


空蝉がしがみついていた 葉は紅く
翔び立った鳥の羽風に ゆらりと落ちた
机に頬杖をついて 知らない間に眠っていた 
痺れた腕は きみの髪の感触を覚えている


川に落ちたもみじ葉の 流れゆく先に
乙女子らの さざめいて笑い声 明るく
朽ちかけた戸は 木枯らしに泣いて
孤独を思い知らせて 街の方角へ去る


永遠を信じた 優しい仕草に
強さとは裏腹だった きみの心の底に
移ろうあたしの心は 留まれなかった


きみが背を向けて 後姿が秋霧の中へ薄らぐ
もどかしさに目が覚めると 頬が冷たく
枕も濡れていた 帰らない日々への追憶に


自由詩 枕に消ゆる Copyright 藤原絵理子 2015-12-15 22:55:02
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