うつほ
レモン

 

ゆけなかった

ひび割れた空のかけら
拾い集めて
黒曜をながした月光
あなたのような
静謐
いだかれながら
緩やかに枯れてゆく
水底の
片羽根なくした
蝶を

想った

緑は虚しく囁きかける
深い杜で甘い果実を
絡めるように
溶けあって食べてしまった
密やかな
行為の

代償

失うことは
こわくなかった
怖かったのは


満ちてゆくこと



溺れてしまえば
パウダーシュガーで
窒息しそう
抱かれるたびに
線香花火の散り消えるさま
季節外れの螢にも似て
ふるえながら
強く弱く
次第に遠く
とおくとおく

もう

伝わる聲も
響かないほど
遠くへ、と



ゆきたかった

花のあめ
ふる
その向こう
あなたの背中が透えた気がして

蹲る夜

青く争う
寒さに馴染んだ人肌と
こごえるくちづけ

滲んだのは
紫煙が
しろい雪にみえたから

清く汚れた
真白い骨に視えたから




夜明けは
コーラルブルーの
子宮のように
結露する

閉ざす沈黙
幽やかに


眠ることなく

 



自由詩 うつほ Copyright レモン 2015-12-07 02:47:49縦
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