季節はずれの蜃気楼
梅昆布茶

できの悪い推理小説のプロット
夢の死に絶えたファンタージェン

造物主のいない創世記  
すべての夢がわずかな因果の隙間に託されるなら
いつもつまずいている僕はニッチな日雇い漂流生活者

習うより慣れろとか
経験や真実は様々なかたちで
いろんな方向からやってくるけれども

僕は通過儀礼的な試験に臨んでいるわけでははないし
そんなものはすでに自己検証もないまま風化してしまって

的中する馬券はまずめったには舞い込まないだろう
僕は狭いところで夢を見ているだけなのかもしれないが

ちょっとは時々は中毒になるんだ
酒 女の人 煙草 音楽 思想 そして詩人という僕とあなたの蜃気楼

僕らはたぶんどこにもつかえない通貨を貯め込んで
そのおもみでアトランティスのように沈没するのかもしれない

ローレライのように通過する船を待って
呪いをほどこすほど魔力も歴史もないから

ラインの美しさをおもいながら
唯々ウインナーワルツの

踊ったこともないステップを
夢見るだけなのかもしれないし

でもあなたの蜃気楼も
とってもすきなのですから







自由詩 季節はずれの蜃気楼 Copyright 梅昆布茶 2015-12-07 01:01:38
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