ペディキュア
レモン
琥珀とも違う
碧がかった金色の不思議な瞳で
遠くをなぞる弛緩
淡桃色のペディキュアが落ち着かない
透かし視て
爪先が音を立てずに偲ぶから
君は泣かないひとだと思ってた。
強くなどない。
眠りの中で
ちいさく呟く切なさを知っているから
瞳に請う想いが滲んでも
増す愛しさが
痛々しくて
離したくない柔らかな鼓動。
この体温だけが全てなんだと
きつく抱いても添うしなやかさ
気紛れな態度と裏腹に
一途がこぼれる。
柔らかな怯え
開いて
私を凝視する
秋杜の朔夜の寂惹
深く湿った苔の匂い
伸ばした爪に
くちづけた。