わたしたちは宇宙の地平線となってしまう
モリマサ公

ホームスィートホームからホームへ
テレビの中でニュースをアナウンサーがにっこりともすんともつかぬ顔でつぶやいてる 
オリジナルじゃなくても存在するたましいのやさしいオーラ
もうなにか巨大なものと戦う必要はなかったはず
でも小学校の校庭で1人喘息で走れなくて
走れるやつはばかみたいだからあんまりみないようにした
中学も高校も全然いかなかったし重力がすごすぎて空気がもっちりしていて全部大嫌いだった
あんなとこで呼吸できる元気もうないな
いつか駄目になる現実をそうじゃない方を選ぼうとまわりを真剣にみているけど
スピードが速すぎて動体視力ついてかないし
わたしなんかいなくても学校は正しかったし
わたしは手をのばさなかった
のばされたりさわられたりしたら困るし気持ち悪いからはやくしにたかった
わずかにのこされたわたしのコトバが気球にのっていく
星のなる木から星をかごにとっている仕事の人から時々頭が変になりそうなメールがくる
星かごのなかから星を選んで宇宙にぽいぽいする仕事だ
いい星とか悪い星についてのメールを読んでいると
なんで相手がわたしなのか
光ってる画面をみてるとついぼろぼろ泣いてしまう
光ってる画面がまぶしすぎてしにたくなる
いつのまにかサーガのようなものがわたしたちを包み込んで
あの人やわたしたちの母や父や祖母や祖父や子供やいとこやが同じ屋敷を通過して
わたしたちは時間をまとって通過していく
最初でも最後でもない物語のところだけがはっきりみえた
プラスチックやレストランや様々なコインが見えないクラい場所にころがって
たゆたう声のようなものばかりがとどまって重なっていく
リンゴの暖かいジュースにショウガを少しすって飲みなさい
青と緑の枠線が敵の存在を証明している
ぶよぶよしている輪郭のあたたかい皮膚をやぶいては誰かとつなげて
かさかさの皮膚を剥いでは誰かとつながった
いい部分がつながってひろがって
汚れた部分がつながってひとつになって川みたいだ
かなしい部分はすべてのそれぞれのかなしさと融合して結合し流動していた
わたしはもう誰でもなかった
よかった
もうしんでもしななくてもよかった
ありふれた宇宙の大河として吸い込む息の中に様々な物語が流れ込んでくる
吐き出すよりはやく光の速度をこえて
わたしたちは宇宙の地平線となってしまう




 


自由詩 わたしたちは宇宙の地平線となってしまう Copyright モリマサ公 2015-12-01 18:40:18
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