虚構の大義
藤原絵理子


存在の不安を癒すはずの
名も知れず 闇から生まれ闇に去る運命の
生者よりも はるかに数多い死者を看取った
神が それを許したのか?


大好きな町が 罪のない血に染まった  
夜が真の闇だった 文明のはるか前
あたしたちの血に繋がる人々が
時の彼方で 願っているものは 


幻想は 亡者のひとことで かき消され
要りもしない玩具が 当たり前な顔で
寄生する 夥しい数で押し寄せて支配しようとする


水汲みの少女が泣いている
今日も 誰かの大好きなどこかの町が
無辜の血に染まっている 赤く沈む夕陽に


自由詩 虚構の大義 Copyright 藤原絵理子 2015-11-21 18:49:30
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