一期一会
レモン
ふれえぬも
ちりん、と鳴るは 分けし絃
花影と
ラストワルツを踊る夜
楠花の
ゆかしき馨り かぜ洗い
寒くない?
手をつなぎたい口実で
紙吹雪
出せない手紙が白く散る
洛陽の
夏を清める こんちきちん
あんじゅさま
東も西も、御使いね
あどけない
少女のような Beaujolais nouveau
ピーカンの
空に颯爽 洗濯旗
夕立の
音符が土に しみてゆく
茶柱よ、立て!
と念じる試験前
オリーブの
実を摘んで知る 日々平和
螢火が
夜空よこぎる 月の舟
夕焼けに
佇む公園 影 長し
貝殻が
語る海の物語
鈴蘭を
毒草と知り 尚、愛でる
人生は
旅の如くに 一期一会