朝けの袖
藤原絵理子


静まった水の鏡に ラムプの炎揺らめく
消え残った恋の余韻 燃えつきるまで
髪を撫でていて もう一度連れて行って
きみを振り向かせて 繋ぎとめたい


夜半にふと目が醒める 夜翔ぶ鳥の声
洩れ入る月の光に浮かぶ 肌の色ほのかに紅
膝をかかえて丸くなる 失くした夢の続きを
まだ覚えている 指の感触の優しさまで


夢だとわかっていたなら
もっと甘えておけばよかった 
抱きしめられたときの 安らぎを


落葉が冷たい風に踊る にぎわう舗道
いつもきみがいた あたしの左側 その虚空を
見知らぬ人が 軽やかにすれ違う


自由詩 朝けの袖 Copyright 藤原絵理子 2015-11-16 21:32:30
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