呪言
春日線香

死んだ人たちが枕元に集まって
寝ているわたしにおめでとうを言ってくる
父や母、兄や祖父母、親戚に見も知らぬ人たち
おそらく先祖も来ているのだろう
死人たちが死人の表情で
ひたすらにわたしを祝ってくれる
誕生日でも命日でもないのに
ささめきが布団を取り囲んで
ざわざわと無限の彼方にまで拡がって
暗闇の奥から
ただおめでとうの声が聞こえてくる
寝ているわたしが耳をふさいでも
それは海鳴りのように繰り返し
生を呪うかのように
おめでとう
おめでとう


自由詩 呪言 Copyright 春日線香 2015-11-09 20:31:01縦
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