僕は寝ているふりをした
あおば

          151104
広辞苑を引くと
ふりをするにもいろいろな
意味があり
最高裁での判例を重要視する輩が
不適当だと声高に唱える男女別姓
婚姻における姓の選択は今や世界の
例外的になっているのにもかかわらず
高速増幅炉文殊を再稼動させようと言うのと
同じだ
世界の技術水準からも遅れている高速増幅炉の改良は
そう簡単ではないのだが
男女別姓を嫌う輩には理解不能のことなのかもしれない
最高裁の判決が重要視されるのは当然かもしれない
ねてるねないねたくないコンビニではねむれない
ので不要となった
2万円の印紙を金券ショップに持ち込んだら
偽造品ではないかと疑われたのも
僕が寝ているふりをしている間に
カラ出張費を経費で落とされた罰かもしれない
カラカラになった浴場にホースで水を撒き
デッキブラシでごしごしと磨き上げる
これが寝たふりしたものへの矯正労働だと
知ったのは朝日が眩しく歩道を照らす時刻だった
波の高さは1.5メートルと穏やかな模様ですと
街頭ラジオが高らかに告げるのを聞きながら
会社への道を早足で歩いてゆく
厳格な支店長命令が下るとの噂も気になるが
とにかく遅刻しないことだけを気にしている


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、あまさらさん。





自由詩 僕は寝ているふりをした Copyright あおば 2015-11-04 23:35:25
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