ノースバウンド
そらの珊瑚

夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとしても
解凍されてゆく痛みを伴う不思議だとか

言葉をもたない
深い深い泉から
命は産まれてくるというのに
言葉でしかそれを
記すすべがない
現実には尾、さえないから
ここでしか生きていけない
ここで生きていくと決めたとたんに
まふゆの色彩が返り咲く不思議だとか
ふるえるたびにわきあがる熱量の不思議だとか


自由詩 ノースバウンド Copyright そらの珊瑚 2015-10-31 11:01:09縦
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