みあたらない
あおば

           151018

あるはずのものが無い
無いと思ったものが有った
見回したところ、平坦に見えても
凸凹があり、水溜りがある
雨が止んでしばらくすると
消えてしまう水溜り
今では横柄に人の侵入を拒み
空を大げさに写しているが
底には泥しかないのを承知し居るから
子供たちもなかなか中には入りたがらない
雨が上がり、明るくなると、浅くなる水溜り
いつの間にか消えてしまうが
見当たらなかったものが泥まみれになって転がっていたりして
あるはずのものがあった喜びを貶してくれる
王子様のように白馬にまたがり水溜りを飛び越えて
あるはずのものやあるはずのないものを無視して
国土を統治する夢を見ながら
失くしてしまった友達から預かった時計を暗くなるまで探す
次の日には友の父の鋭い目がみあたらないものの在り処を
隠しているものを探して突き刺さしている
生き延びることが出来るのは幸運だといわんばかりの眼光に
みあたらないものは、怯えて声も立てられないのだ
そのように結論付けてみあたらないものを見捨ててきたが
今になって捨てられた見当たらないものを探して
見捨てられたタイトルが
私にまだ見当けられないのかと捨て子の居所を何度も尋ねてくる


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、こうだたけみさん。




自由詩 みあたらない Copyright あおば 2015-10-18 23:22:27
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